<写真:tuoitre-vn>
ベトナムの旧正月「テト」が近づく中、ホーチミン市の小さな路地裏に春の気配が静かに広がりつつある。
市民の自発的な協力によって、花や飾り、伝統的な装飾が施され、街角には温もりある雰囲気が満ちている。
ホーチミン市内各地では、住民が自主的に資金を出し合い、空きスペースに菊の鉢植えやランタン、書道の装飾などを設置している。
かつてのテトの風景を再現する竹籠やもち米、バインチュンを展示する場所も見られ、記念撮影を楽しむ人々の姿が目立つ。
規模こそ控えめであるが、各地域の特色を生かした工夫が凝らされ、「見せるテト」ではなく「感じるテト」の風情が街に広がっている。
「Xuân đoàn kết - Tết nghĩa tình(団結の春・情けのテト)」と題されたこの取り組みは、2025年からベトナム祖国戦線により本格的に推進され、2026年は市内168の区・町で定着を見せている。
地域住民が中心となって装飾やイベントを企画し、物資や人手を持ち寄って運営されている点に特徴がある。
さらにホーチミン市は、2026年のテトに向けて約5兆9000億ドン(約354億円)の福祉予算を計上し、生活に困窮する人々や地方出身労働者に対して帰省支援、年越し用品の提供、住居修繕支援など多面的な施策を展開している。
一方、郊外や島嶼部でも同様の取り組みが進められており、7日にはホーチミン市軍司令部がカンゾー郡のタインアン村にて「軍民のテト」イベントを開催した。
同イベントではバインチュンづくり、無料医療、無償の飲食提供を通じて地域住民との交流を深めた。
市民の手で築かれるテトの空間は、単なる装飾の域を超え、地域コミュニティの絆を再認識する場となっている。
にぎやかさよりも心のぬくもりが感じられる、静かな春の訪れが、都市の喧騒の中に確かに息づいている。




































