〈写真:Tuoitre〉
ベトナムのテト(旧正月)では毎年各地に干支像が登場し、そのクオリティの低さやデザインの劣悪さが度々話題となるが、2026年も例外なく個性的な干支像が登場して話題となっている。
本来、干支の像といえば「力強い」「縁起が良い」「威厳がある」といったイメージが定番である。
しかし、2026年はスマートフォンを触る馬、スーパーヒーロー風の馬、食べ過ぎたようなお腹の馬、さらにはマツエクを施した馬まで登場し、SNS上では「かわいい」「攻めすぎ」「これはありなのか」と賛否両論が巻き起こった。

まず象徴的な存在となったのが、ザライ省の展示会場に登場した「iPhoneを操作する馬」である。
浮き輪に座りながらiPhone 17を操作し、どこか不機嫌そうな表情を浮かべる姿は、公開直後から爆発的に拡散された。
「今年のテト像で一番人間らしい」「スマホ依存の現代人のようだ」と共感を呼ぶ一方で、従来の干支像が持つ「堂々」「勇ましい」といったイメージとは真逆であることから、「干支の象徴としては軽すぎるのではないか」という意見も出た。
その違和感こそが、2026年テトを象徴する存在になった理由である。

同じくザライ省では、筋肉質で力強いポーズをとるスーパーヒーロー風の馬も登場した。
これはベトナムの英雄伝説や戦馬のイメージを現代的に再解釈したものであるとされる。
伝統的なモチーフを基盤としながらも、漫画や映画のヒーローを思わせるデザインが特徴的である。
「かっこいい」「新しい」という評価がある一方、「もはや馬というよりキャラクターだ」という声もあり、現代のテト像の方向性を象徴する作品となった。

テトといえばごちそうである。その現実をそのまま形にしたかのような作品が、丸く張ったお腹をした2頭の馬である。
満足そうな表情と愛嬌のある体型は「テトで食べ過ぎた自分を見ているようだ」とSNSで共感を呼んだ。
伝統的な美しさよりも親しみやすさやユーモアを優先した典型例であり、若い世代や家族連れの人気撮影スポットとなった。

ドルマークの赤シャツと金ネックレスを身に着けたペアの馬も登場した。この姿は「繁栄」「富」「成功」といった縁起の良さを強調するデザインである。
しかしその露骨さゆえに「まるで嫌味な大富豪」「成金感が強い」といった声も上がった。
コミカルな像が多い今年にあっては比較的まとも寄りではあるが、誇張された成金感が強い印象を残した。

ビーチリゾートとして知られる地域では、サーフボードを持つ馬の親子像も登場した。観光地の個性を前面に押し出したデザインであり、海へ向かう爽やかな姿が印象的である。
これまでの干支像には見られなかった地域色の強い表現であり「こんなテト像は初めてだ」「夏らしすぎる」といった声も上がった。
従来のテトのイメージから大きく踏み出した作品である。

さらに、ビーチウェアを身にまといリラックスする馬たちの群像も話題となった。
サングラスやリゾート風の衣装を着け、観光客のようにくつろぐ姿は「テト=帰省・休暇」という現代的なライフスタイルを象徴しているとも解釈される。
観光都市のブランディングとしては成功例といえるが、伝統的で厳かな雰囲気を求める層からは驚きの声も聞かれた。

そして最も賛否が分かれたのが、長いまつ毛や派手な髪型を施したマツエクの馬である。
公開直後からSNSで急速に拡散され「かわいい」「独特のセンスだ」と評価される一方、教育的・文化的観点から疑問を呈する意見も相次いだ。
最終的には修正が行われることとなり、この一件はテト像が単なる装飾ではなく、地域の価値観や文化観を映し出す存在であることを改めて示した。
2026年の干支像に共通しているのは「完璧さ」よりも「話題性」と「親しみやすさ」を重視している点である。
SNS時代においては、伝統的な美しさだけではなく、思わず写真を撮りたくなる個性や意外性が重要であることが明確になった。
今回話題となった変なテト像の数々は、その象徴的な存在であったと言える。
2027年のテトには、どのような干支像が登場するのであろうか。さらなる意外性を追求するのか、それとも原点回帰が起こるのか。
テト像の進化は、今後も注目に値するテーマである。





































