〈写真:soha.vn〉
ベトナムの企業では、国際女性デー(3月8日)を祝う新たな社内イベントとして、モデルやダンサーなどの「イケメン男性」をオフィスに招き、女性社員に花や菓子を贈るサービスが広がっている。
従来の簡単な贈り物に代わり、体験型イベントとして社員満足度を高める狙いがある。
ハノイ市のあるIT企業では6日、音楽に合わせてスーツ姿の男性モデルが各部署を回り、女性社員1人ひとりに花束と菓子を手渡した。
写真撮影用の花飾りスペースや歌手によるライブも用意され、職場は祝祭的な雰囲気に包まれたという。
ハノイ市の別の企業でも、筋肉質の男性ダンサーが登場し、女性社員を舞台に招いて花を贈る演出が行われた。
参加者からは「仕事のストレスを忘れさせてくれる楽しい体験」と歓迎する声が上がった。
こうしたイベントの様子はSNSでも拡散され、数百万回の再生を記録するなど企業の関心を集めている。
ハノイ市やホーチミン市では、男性モデルやダンサーの出演料は1人当たり150万〜200万ドン(約9000〜1万8000円)程度で、あるIT企業では約20人を招くため3000万ドン(約18万円)以上を支出した。
需要の急増に伴い、パフォーマー派遣会社には予約が相次いでいる。
男性ダンサー約40人を抱えるハノイ市のダンス団は、これまで主にナイトスポットで活動していたが、2026年は企業イベントからの依頼が急増しているという。
人事分野の専門家は、こうした動きを「感情に訴える体験経済の一例」であると指摘する。
職場のストレス緩和や組織への帰属意識を高める効果が期待される一方で、過度な演出にならないように配慮も必要であるとしている。
もっとも、外部サービスの活用に否定的な声もある。女性社員の中には「同僚の男性が自ら準備してくれる方が温かみを感じる」との意見も見られる。
近年、ベトナムでは女性の日を祝うイベントが次第に盛大化している。しかし一方で、贈り物の競争が男性側の心理的・経済的負担を増やしているとの指摘もある。
国際女性デーは本来、女性の権利向上を訴える運動に由来する日である。
しかし、ベトナムでは市場経済の拡大とともに「贈り物をする日」としての側面が強まった。
研究者の間では、女性の権利問題よりも消費行動が前面に出る「顕示的消費」の傾向が強まっているとの見方もある。
専門家は「最終的な目的は女性が尊重されていると感じることである。実用的な贈り物や楽しい思い出こそが、企業イベントの成功を測る指標となる」と指摘している。


































