〈写真:baochinhphu.vn〉
2025~2026年冬季のベトナム北部は、寒気の流入があったものの気温は平年より高く、比較的暖かい冬となった。
専門家は、その要因として大気循環の変動、弱いラニーニャ状態、さらに地球温暖化の影響を挙げている。
ベトナム気象水文環境海洋科学研究所によると、2025年12月から2026年2月までの主要な冬季3カ月の平均気温は、国内の多くの地域で平年より0.1~2度高かった。
北部では冬季全体で約13回の寒気の流入が観測されたが、強度は弱く持続期間も短かった。そのため寒波と気温上昇が交互に現れる形となり、季節平均気温は平年を上回った。
同研究所の気候研究センター副所長トゥオン・バー・キエン氏によると、北半球の大気循環の変動が寒気の南下経路に影響を与えた。
北極周辺の寒気を保持する極渦は、成層圏突然昇温の影響で弱まり、上空のジェット気流が大きく蛇行した。
その結果、シベリアから東アジアへ向かう寒気の流れが不安定となった。
強い寒気の一部は北米へ流入し、同地域では寒波や暴風雪が発生した一方、東アジアや東南アジアでは長期間の寒波が少なかった。
さらに海洋条件も影響した。今冬はエルニーニョ・南方振動(ENSO)が弱いラニーニャ状態にあり、今後は中立状態へ移行する見込みである。
この状態では大気循環が強い寒気の継続的な南下を促しにくい。
加えて、西太平洋と南シナ海の海面水温は平年より0.5~1.5度高く、シベリアから南下する寒気は暖かい海域を通過する過程で弱まりやすかった。
気候学者は、地球温暖化の進行も冬の特徴を変化させていると指摘する。大気と海洋の平均気温が上昇するなか、長期間にわたる厳しい寒冬は減少する傾向にある。
一方、2026年は暑季の到来が早まり、猛暑の期間が長期化する可能性が高いとみられている。
国家水文気象予報センターのグエン・バン・フオン予報部長によると、ENSOは今後3カ月以内に80~90%の確率で中立状態に移行し、年後半にはエルニーニョへ傾く可能性がある。
世界気象機関(WMO)も、2026年が観測史上でも特に暑い年の1つとなる可能性を指摘している。
ベトナムでは3月以降、東南部で広範囲の高温が続き、4月には中部高原やメコンデルタにも拡大する見通しである。
5月末以降は北部と中部全体で猛暑が本格化し、6~8月にかけてピークを迎える可能性が高い。
また、南シナ海の台風活動は3~7月は平年並みと予測されるが、8月以降は発生数が平年を下回る可能性がある。
ただし、海面水温の上昇やENSOの暖相傾向により、発生した台風が急速に発達し、進路が複雑化するリスクがあるため、引き続き警戒が必要である。






































