<写真:vneconomy.vn>
ベトナムのIT企業にとって人工知能(AI)は、下請け型モデルから脱却し、国際顧客との共同創造パートナーへ転換する好機となっている。
ベトナムソフトウェア・ITサービス協会(Vinasa)のアン・ゴック・タオ副事務局長は、2026年初め以降に実施した国内企業との協議や調査結果を踏まえ、AIの普及が業界に与える影響について見解を示した。
調査では約160社の多くが新技術を前向きに受け入れ、売上高は20〜30%増が一般的で、40〜50%の伸びを示す企業もあった。減収は9社にとどまった。
AIがプログラミング業務の多くを担うとの見方がある一方、実際には需要が急増している。
AI活用により開発効率は3〜5倍に高まり、顧客側のシステム高度化需要、とりわけグローバル市場での案件が拡大しているためである。
企業の課題は人員削減ではなく、能力強化に移っている。
具体例として、従来は完了まで10年を要すると見込まれていた大型案件が、AI導入により数カ月単位に短縮され契約に至ったケースがある。
AIは顧客がIT企業を不要とするのではなく、より高度な課題解決を担うパートナーへの需要を高めている。
世界的にもIT支出は拡大しており、2026年は6兆1500億ドル(約922兆5000億円)に達する見通しである。
サービス分野も2桁成長が続く。大手アウトソーシング企業ではAI関連収益が実績として表れており、インドの大手ではAIが売上の一部を占めるまでになっている。
ベトナム企業でもAI関連収益が前年比40%増となる例がある。
従来の時間・人員ベースの請負モデルから、成果連動型や高付加価値サービスへの移行も進む。
AI基盤構築やデータ整備、システム高度化といった案件が増え、利益率の改善につながっている。
雇用面では、AIによる解雇よりも「価値の再構築」が進む。単純作業はAIに任せ、人材はシステム設計や業務コンサルティング、AI統合など高度領域に移行している。
AI関連の人材需要は高く、国内では約1万5000人の求人に対し、適合人材は約8000人にとどまる。
ベトナムには現在、IT企業が約7万4000社、従事者は120万人いる。2030年には300万人規模に拡大し、デジタル経済は740億ドル(約11兆1000億円)規模に達する見込みである。
世界的にもAIは雇用を9200万人減らす一方、1億7000万人の新規雇用を生むとされる。
一方で、従来型の単純業務に依存する企業には強い圧力がかかる。
AIによる自動化が進む中、企業は単なる実装から、業界特化のソリューション提供や知的資産の共同保有へと役割を高める必要がある。
採用動向も変化している。単純なコーディングや手動テストの需要は減少し、AIエンジニアやデータ専門家、システム統合人材の需要が拡大した。
企業は記憶型の知識よりも、問題解決力や業務理解、AI活用能力を重視している。
AIは雇用を減らすのではなく、エンジニア像を再定義している。AIを活用する人材には機会が広がり、活用を拒む人材には圧力が高まる構図である。
人材側には、アルゴリズムやデータ構造など基礎力に加え、業務理解や統合設計能力、国際的なコミュニケーション力が求められる。
AIが論理的作業を担う中、人間には思考力や適応力がより重要となっている。







































