<写真:baodongthap.vn>
ベトナム南部で狂犬病による死亡例が増加しており、2026年前半6カ月で約20人が死亡した。
多くは放し飼いの犬や猫による咬傷が原因で、被害者がワクチン接種を受けなかったケースが目立つ。
同地域の死亡数は2025年通年の半数超に相当する水準である。ホーチミン市パスツール研究所は南部における死亡増加を指摘した。
全国では2026年5月中旬時点で狂犬病症例は30例となり、2025年同期比で10例増加している。
専門家によると、狂犬病は予防可能であるにもかかわらず、飼育動物の管理や咬傷後の対応が不十分であること、犬猫由来の感染源が十分に制御されていないことが死亡増加の背景にある。
特に放し飼いや口輪未装着の犬が依然多く、人が噛まれる、引っかかれるリスクが高まっている。
また、犬猫へのワクチン接種率の低さも問題となっている。政府は2023年、2023~2025年に接種率70%以上、2026~2030年に80%以上を目標としたが、多くの地域で達成できていない。
例えばダナン市では2025年の接種率が41%にとどまり、10のコミューンで10%未満であった。ザライ省でも2025年2月時点で犬は21万7000頭以上いるが、接種率は約20%にとどまる。
接種率の低さはウイルスが存続する余地を生み、人への感染を招いている。さらに犬猫の売買や輸送、屠殺、放し飼いの習慣も感染拡大のリスクを高める。
感染の疑いがある犬が管理されない場合、多数の人を咬み、新たな感染源となる可能性がある。
感染は家庭内でも発生しており、餌やりや動物同士のけんかの仲裁、遊び、接触など日常行動中に咬傷や引っかき傷を受けるケースが多い。
小さな傷や粘膜への接触でも、動物がウイルスを保有していれば感染し得る。
一方で、飼い犬や飼い猫は安全と考え、咬まれても様子を見るだけ、あるいは民間療法に頼るなど適切な予防措置が遅れる例も少なくない。
狂犬病ウイルスは神経を通じて中枢神経を侵すため、頭部や顔、首など脳に近い部位を咬まれた場合、発症までの期間が短くなるリスクがある。
予防策としては、犬猫への定期的なワクチン接種、適切な飼育管理、公共の場での口輪装着、子どもへの安全な接し方の教育が重要とされる。
咬傷や引っかき傷を受けた場合は速やかに応急処置を行い、医療機関でワクチンや免疫グロブリンの必要性を判断することが求められる。
応急処置としては、少なくとも15分間、流水と石けんで傷口を洗浄し、その後アルコール(45~70度)またはヨウ素で消毒することが推奨される。
現在、ベトナムではフランス製とインド製の新世代ワクチンが使用されており、神経や記憶への影響はないとされる。
ワクチンは曝露前後いずれでも接種可能で、医師の指示に従い所定の回数を完了する必要がある。
犬猫の飼育者や獣医、動物関連従事者、森林業務従事者などの高リスク群に加え、犬猫と頻繁に接する子どもも事前接種の検討が推奨されている。




































