〈写真:vietnambiz.vn〉
ベトナムの主要都市において分譲マンション価格の上昇が続いている。ハノイ市とホーチミン市、ダナン市の3都市では、高級物件の供給拡大を背景に新築価格がこの1年で20〜40%上昇し、手頃な価格帯の住戸は急速に縮小している。
不動産サービス大手CBREによれば、ハノイ市では過去1年間に約3万6000戸が新規供給された。供給量自体は高水準にあるものの、2023年以降は高級物件が全体の8割超を占める構造へと転換している。
1㎡当たり1億2000万ドン(約70万8000円)を超える物件も増加し、中心部では9000万〜1億1000万ドン(約53万1000〜64万9000円)が一般的な水準となっている。郊外でも2LDKで50億〜60億ドン(約2950万〜3540万円)に達する事例がみられ、2014〜22年に主流であった中低価格帯の物件はほぼ姿を消した。
ホーチミン市でも価格上昇は顕著である。2025年第4四半期時点における中心部の新築平均価格は前年同期比21%上昇し、1㎡当たり約9200万ドン(約54万3000円)となった。既存案件の次期販売では前回比30〜50%高となる事例も報告されている。供給戸数は約7100戸にとどまり、その大半が高級・超高級物件である。
ダナン市でも上昇基調が続いている。ベトナム不動産仲介業協会(VARS)によると、2025年の新築平均価格は1㎡当たり約8300万ドン(約49万円)であり、6年間で68%上昇した。とりわけハノイ市をはじめとする北部投資家の資金流入が、価格を押し上げる要因となっている。
こうした価格高騰は実需層の購買力を圧迫している。調査では約3分の1が長期賃貸を継続すると回答し、約3割が郊外物件への転換を検討している。ホーチミン市不動産協会(HoREA)は、地価算定方法の見直しや許認可手続きの変更、建設資材価格や金融コストの上昇が販売価格に転嫁されていると指摘している。
専門家は、供給自体は改善しつつあるものの、高価格帯に偏在している点を問題視している。利益最大化を狙う開発競争が価格を押し上げ、郊外においても手頃感は薄れている。政府に対しては、手頃な価格の商業住宅や社会住宅の供給促進、初回購入者向け優遇融資制度の拡充を求める声が強い。
2026年には3都市で供給増が見込まれているが、価格水準は高止まりするとの見方が大勢である。都市インフラ、とりわけ環状道路や都市鉄道の整備が新たな価格形成要因となるなか、実需を重視した供給構造への転換が市場の持続性を左右するとみられる。


































