<写真:tienphong.vn>
ベトナム南部最大都市ホーチミン市の不動産市場では、賃貸物件への関心が急速に高まっている。2026年1月には全国の不動産検索の約50%を同市が占め、特に賃貸の「下宿・賃貸部屋」への検索が前年同月比で130%増となった。
一方で賃料は大きく上昇しておらず、市場は投機主導ではなく実需主導の動きを強めている状況である。
不動産情報サイトBatdongsan.com.vnによると、2026年1月の全国の不動産検索数は旧正月(テト)前後の季節要因により前月比ではやや減少したものの、前年同月比では大幅に増加した。地域別ではホーチミン市が全国検索の約50%を占め、ハノイ市が約27%でこれに続いた。
ホーチミン市では検索関心が前年同月比で60%増となり、掲載物件数も45%増加した。特に賃貸市場の伸びが顕著であり、下宿・賃貸部屋の検索は130%増、賃貸マンションは52%増、賃貸戸建ては50%増となった。
テト休暇後に労働者や学生が都市へ戻る時期と重なるため、賃貸住宅需要が急増するのは例年の傾向である。
しかし、今回の需要増加は賃料の急騰には結び付いていない。専門家はその主な理由として3つを挙げている。
第一に、供給不足の緩和である。過去2年間の市場調整を経て、売却益を待つよりも安定したキャッシュフローを確保するため、物件を賃貸へ転用する投資家が増加し、供給が拡大した。
第二に、需要の中心が実需型の中低価格帯に集中している点である。検索が多いのは下宿や中価格帯のマンション、戸建てなどであり、借り手の所得水準の影響を受けやすく、賃料の上昇余地は限定的とみられている。
第三に、金融環境の影響である。2026年1月は小売売上高が9%増、企業の新規設立・再開が45.6%増、鉱工業生産指数が21%増と経済指標は改善しているものの、住宅ローン金利は年9%以上と依然として高水準にある。資金調達コストが高いことから、不動産投資資金の急速な拡大には至っていない。
売買市場では検索数が前年同月比47%増、掲載数が41%増となり、土地やマンションの販売価格は上昇傾向を示している。ただし、これは主に売り手側の価格期待を反映した動きであり、短期売買を目的とした投機的取引の拡大は確認されていない。
また、資金や関心が大都市やインフラ整備が進む周辺地域へ集中する傾向も見られる。ホーチミン市とハノイ市のほか、ダナン市、カインホア省、ドンナイ省、ハイフォン市などが注目を集めている。
さらに、情報の信頼性を重視する動きも強まっている。不動産サイトの統計では「認証済み」と表示された物件は通常の掲載に比べて閲覧数が1.8倍、問い合わせ率が2.4倍に達した。市場が過熱状態から落ち着く中で、透明性や法的確実性が重要な判断基準となりつつある。
ホーチミン市の検索関心が全国の半数を占めながら賃料が急騰していない現状は、不動産市場が投機中心の局面から実需主導の均衡型市場へ移行しつつある可能性を示している。
2026年は、短期的な価格上昇期待ではなく、経済成長と居住需要に支えられた持続的な市場構造への転換期となる可能性がある。






































