<写真:baomoi.com>
ベトナムでは高齢者の健康問題が深刻化している。
平均寿命は74歳を超え、世界的にも高い水準にある一方で、晩年の約5〜7年間を複数の疾患と共に過ごすケースが多く、生活の質の低下が課題となっている。
ベトナム保健省によれば、高齢者1人当たり平均4〜5種類の疾病を抱えており、医療機関の受診回数も他の年齢層の2倍以上に達する。
加えて高齢化の進行は急速であり、2012年に高齢化社会へ移行して以降、現在では高齢者が人口の16%超を占めている。
今後約20年でこの割合は20%に達し、2032年には高齢者数が子どもの数を上回る見通しである。
労働力人口による支え手の減少も顕著である。
高齢者1人を支える現役世代は、2023年時点で7人超であったが、2049年には約2人まで低下する見込みであり、医療および社会保障への負担増大が懸念されている。
医療現場に目を向けると、特に地方では未受診や不適切な服薬が依然として多く見られ、慢性疾患の悪化や合併症リスクを高めている。
このため専門家は、病院中心の対応から地域密着型の継続的な健康管理への転換を提唱している。
あわせて、デジタル技術を活用した健康管理や在宅ケアモデルの導入も進められている。
また、非感染性疾患への対応も喫緊の課題である。
世界保健機関(WHO)によれば、心血管疾患、がん、糖尿病などは世界の死亡原因の7割以上を占めており、ベトナムでも同様の傾向が強まっている。
とりわけ脳卒中は年間約22万件発生しているが、発症後4.5時間以内に治療を受ける患者は23%程度にとどまる。
救急搬送体制の未整備や症状認識の遅れが主な要因である。政府は2025〜2035年の対策戦略を策定し、早期発見と救急対応の強化を進める方針である。
医療当局は、治療中心から予防重視へと政策の軸足を移し、スクリーニングや早期診断の強化を図っている。
高齢化の進展に対応するためには、医療、リハビリ、栄養、心理、社会支援を統合した包括的ケア体制の構築が不可欠である。



































