<写真:dantri.com.vn>
ベトナム株式市場では、海外投資家による売り越しが続いている。
市場関係者の間では、米ドルとベトナムドンの金利差に起因する為替要因に加え、市場を構成する銘柄の多様性不足、さらに世界的な資産配分の見直しが主な背景とみられている。
週初の取引では、海外投資家の売越額が約3兆4000億ドン(約205億1200万円)に達した一方、買付額は約2兆ドン(約120億6600万円)にとどまり、年初来で最低水準となった。
売りはVPB、HPG、SSIなどの主力株に集中し、これにより売り越しは13営業日連続となった。
3月の累計売越額は約16兆7500億ドン(約1010億5000万円)、年初からの累計では約30兆5000億ドン(約1840億200億円)に膨らみ、前年同期比では約18%増となっている。
海外資金の流出は前年から続いている。2025年の売越額は過去最大となる135兆ドン(約8144億3500万円)を記録した。
背景には、米国の金融引き締めとベトナムの緩和的な金融政策との方向性の違いを受け、ドル高・ドン安が進行したことがある。
足元の売りについて、ベトキャップ証券のトン・ミン・フオン最高経営責任者は、為替以外の要因も大きいと指摘する。
世界分散投資を行う機関投資家にとって、ベトナムのようなフロンティア市場の保有比率は総資産に占める割合が小さい。
このため、市場環境の不透明感が強まる局面では、重要度の低い市場から先に資金を引き揚げやすい。
近年、こうした市場で一定の運用益が出ていたことも、利益確定売りを促した要因とされる。
ベトナム市場固有の課題としては、上場銘柄の層の薄さが挙げられる。大型銘柄が一部業種に偏在し、新たな投資対象が乏しいことが、海外資金の定着を妨げている。
ただし、当局は新規株式公開後の上場までの期間短縮や、国有企業の上場促進を通じて改善を急いでいる。
市場関係者の間では、今回の資金流出を投資家層の入れ替わりと捉える見方もある。
ベトナムは現在フロンティア市場に分類されているが、10月に新興国市場へ格上げされるとの期待が強い。
この場合、フロンティア市場に特化したファンドは保有資産を縮小する一方、新興国向け資金の流入が見込まれる。
HSC証券のタイラー・グエン・マイン・ズン氏によれば、外国人投資家の保有比率は約14.6%と、2年以上前の2割超から大きく低下し、過去最低水準にあるという。
同氏は、今回の売り越しはベトナム固有の懸念というよりも、世界的なリスク再評価と資産再配分の一環であるとの見方を示している。
域内市場でも同様の資金流出がみられるためである。
MB証券も、海外資金はアジアの新興市場全体から流出していると分析する。
中東情勢の緊迫化以降、アジア株からの資金流出額は約520億ドル(約8兆2500億円)に達し、2020年3月の新型コロナウイルス禍初期を上回る規模になったという。
特に、エネルギー輸入依存度の高い台湾、韓国、インドなどで売りが目立っており、原油高が純輸入国の景気に与える影響が懸念されている。
もっとも、中長期では海外資金の回帰を見込む声が多い。市場では、FTSEラッセルによる4月7日の中間見直しが重要な節目になるとの期待が高まっている。
ベトキャップのフオン氏は、ベトナム経済の基礎条件はなお良好であり、市場格上げが実現すれば、年後半には資金流入へ転じる可能性が高いとみている。
フィンランドのPYNエリート・ファンドのペトリ・デリング運用責任者も、ベトナム株の短中長期の収益機会に対して強気姿勢を維持している。
FTSEラッセルが格上げを正式に認定すれば、指数連動型ファンドがホーチミン市場の銘柄への投資を段階的に始めるとみられる。
さらに、MSCIが6月の定例見直しでベトナムを格上げ候補として監視対象に加えれば、資金流入期待は一段と高まる可能性がある。
国内証券各社は、格上げ後に60億〜80億ドル(約9523億8000万〜1兆2700億円)規模の海外資金が流入する可能性を試算している。
HSBCは、最も強気の想定として104億ドル(約1兆6500億円)に達するとの見方を示している。ただし、実際の資金配分には1年から1年半を要する見通しである。
機動性の高いアクティブファンドが先行し、ETFなどのパッシブ資金は正式な格上げ後、さらに数カ月をかけて組み入れを進める公算が大きい。




































