<写真:danviet.vn>
ホーチミン市は都市統合後、巨大都市としての規模を拡大する一方、従来の成長モデルが限界に近づき、経済成長の減速リスクに直面している。
2026年5月初旬、ホーチミン市北西部の交通要所であるタンビン工業団地入口付近では渋滞が常態化している。
同団地は1997年に約180ha規模で設立され、周辺に71haの住宅地を併設し、かつては低コストの土地と豊富な労働力を背景に発展した。
ホーチミン市中心部から約10km、タンソンニャット空港から約3kmの立地を生かし、機械、繊維、電子など多様な企業が集積し、一時は100社以上、約2万5000人の雇用を創出した。
2016〜2019年には付加価値が年平均14%超で拡大し、1ha当たり売上高も873万ドル(約12億6600万円)から1633万ドル(約23億6800万円)に増加したが、都市化の進展に伴い限界が顕在化した。
周辺道路の慢性的な渋滞や大型車両の通行制限、住宅密集による環境負荷の増大に加え、生活コスト上昇で労働力確保も難しくなっている。
高層工場の導入も検討されているが、重量機械の使用などが障壁となり進展していない。
一部用地は倉庫や物流、電子商取引向けへ転用されつつある。
ホーチミン市は同団地を含む5つの工業団地を「工業・都市・サービス」型へ転換する方針であるが、既存企業の移転コストの高さが課題となっている。
同団地の状況は、ホーチミン市の工業部門全体の構造問題を映し出す。
工業は域内総生産(GRDP)の約32%を占めるが、食品加工や機械、電子などの重点産業と並行して、依然として労働集約型産業に依存している。
2016〜2019年には繊維・履物が輸出の約33%、81億6000万ドル(約1兆1832億円)を占め、電子・ITの約22%、55億ドル(約7975億円)を上回ったが、同分野は8100万ドル(約117億4500万円)超の赤字を計上した。
現在、ホーチミン市内には58の工業団地・輸出加工区が稼働しているが、多くが都市中心部に取り込まれ、規模やインフラの制約、運営モデルの老朽化といった問題を抱える。
土地利用期限の接近も再編圧力を強めている。
経済全体でも優位性の低下が顕著である。
2025年のGRDP成長率は7.53%と全国平均(8.02%)を下回り、34地域中21位にとどまった。
経済規模は約274万億ドン(約16兆4400億円)で最大を維持するが、国内GDPに占める割合は約23.1%と、かつての30%から低下した。競争力指数でも上位5位から後退した。
トー・ラム総書記・国家主席は、ホーチミン市が低コスト経済から脱却できず、高付加価値経済にも移行しきれていないと指摘した。
専門家は、長年蓄積したインフラや制度面のボトルネックが背景にあると分析する。
人口と経済規模の拡大に対し、交通、教育、医療などの整備が追いつかず、渋滞や浸水、環境汚染が深刻化している。
さらに、2017〜2021年にかけて市の財政留保率が33%から18%へ低下し、再投資余力が縮小した。
企業側からも、都市中心部の過密と広域連結の不足が同時に進む「二重のインフラ負担」が指摘されている。
環状道路や地下鉄、高速道路などの整備遅れが、新たな成長拠点形成の機会損失につながっている。
加えて、2008〜2012年の世界金融危機、コロナ禍、不動産・社債問題などの連続的な外的ショックも経済に影響を与えた。
2025年の社会全体投資額は約684兆8770億ドン(約4兆1093億円)で前年比11.9%増となったが、民間投資は伸び悩んだ。
こうした中、タンビン工業団地の企業も対応を迫られている。
繊維企業の一部はコスト抑制と成長余地確保のため、タイニン省やドンナイ省、ビンロン省へ生産拠点を分散しているが、供給網や人材が集中する同市からの完全移転は難しい状況である。
企業側は研究開発や再生可能エネルギーへの投資意欲を示す一方、明確な政策と移行計画を求めている。







































