〈写真:tapchikinhtetaichinh.vn〉
ハノイ市が掲げる戦略投資家の誘致は、行政手続きの煩雑さや条件の不透明さを背景に進展していない。
外国投資局(財務省)のデータによると、2026年1~4月のハノイにおける新規外国直接投資(FDI)登録額は約8億1500万ドル(約1222億円)で、2025年同期比で約45%減少した。
この結果、ハノイ市は全国のFDI誘致上位5地域から外れた。
上位にはタイグエン省の約60億ドル(約9000億円)、ホーチミン市の約39億ドル(約5850億円)、ゲアン省の約22億ドル(約3300億円)、バクニン省の約14億ドル(約2100億円)などが並ぶ。
ハノイ市人民評議会は2025年7月、戦略投資家の誘致を目的とした決議17号を公布し、都市鉄道や衛星都市、半導体生産、クリーンエネルギーなど6分野を優先領域として提示していた。
しかし、ハノイ市財政局によると、施行から9カ月が経過した現在も、これら分野で戦略投資家の誘致には至っていない。
同局は、企業参入が進まない要因として、行政手続きの複雑さを指摘する。
大手企業は投資方針の承認と同時に投資家認定を受けるため、直接交渉による柔軟な仕組みを求める傾向がある。
一方で、現行制度では入札や投資家承認の厳格な手続きを経る必要があり、迅速な意思決定が難しい状況にある。
また、戦略投資家に対する条件が明確ではなく、現行法規と整合しない点も課題とされる。
優先分野の設定についても、新たな発展段階の要請に十分対応していないと評価されている。
エコノミカ・ベトナムのレー・ズイ・ビン代表は、9カ月間で成果が出ていないことについて投資環境の悪化を示すものではないと指摘する。
戦略投資プロジェクトは規模が極めて大きく、最低でも25兆ドン(約1500億円)規模の資金が必要であり、高度な技術や知識を伴うため、準備や協議に時間を要するという。
このため、大型かつ高技術のプロジェクトが6~9カ月で実現するケースは稀であり、投資家側も慎重に検討を進めているとされる。
実際には複数の投資家が水面下で準備を進めているという。
こうした状況を踏まえ、ハノイ市は戦略投資家に関する制度見直しを進めている。
対象分野を17分野に拡大し、条件の緩和を図る方針で、改正首都法の施行(7月1日)との整合も図る。
新たに自由経済区、自由貿易区、国際金融センター、排水インフラなどを追加するほか、人工知能(AI)、ロボット・自動化、航空宇宙分野への投資誘致も検討する。
さらに、社会分野や文化産業として、スポーツ複合施設や文化産業センター、5つ星基準の複合型リゾート開発も対象に加える。
制度面では、投資実績要件の緩和や資本金要件の柔軟化を検討するほか、土地・水面の賃料減免措置も導入する。
一方で、長期的な関与を担保するため、資金拠出期限の設定や一定期間のプロジェクト譲渡禁止も盛り込む。
ビン氏は、優遇措置の明確化と魅力向上に加え、投資促進活動の強化が必要と指摘する。
企業側の来訪を待つだけではなく、当局が主体的に国内外の戦略投資家へ働きかけるべきであるとしている。




































