〈写真:tuoitre.vn〉
配車アプリ運転手を社会保険の強制加入対象に加える案が浮上し、長年制度外に置かれてきた数十万人規模の労働者の保護が議論されている。
6月初旬、ホーチミン市社会保険機関は社会保険法および医療保険法の改正に関する意見として、配車アプリ運転手を強制的な社会保険(BHXH)加入対象に含めることを提案した。
柔軟な労働力が多く、デジタル経済が国内で最も発展している地域であることが背景にある。
ホーチミン市では、配車サービスの開始から10年以上が経過し、現在は約40万人の運転手が活動している。
副業ではなく主たる生計手段とする人が増え、長期間にわたりプラットフォームに依存する就労形態が定着している。
一方、理論上は任意加入制度があるものの、加入率は低い。
実収入は経費控除後で月700万~900万ドン(約4万2000~5万4000円)にとどまり、この水準を維持するために1日8~13時間働くケースが多い。
約23%は夜間帯(22時~翌6時)にも継続的に稼働している。
交通事故や犯罪被害、健康問題などのリスクに直面する一方、プラットフォーム企業との関係は雇用ではなく「パートナー」と位置付けられているため、強制加入の対象外となっている。
事故や労働不能時には自己負担に頼らざるを得ない状況である。
提案では、法的に雇用関係と認定される場合、既存制度に基づき労働者が給与の10.5%、企業が21.5%を負担する。
一方、雇用関係と認められない場合には、個人事業主と同様の枠組みで強制加入とし、約25%の社会保険料と4.5%の医療保険料を本人が負担する仕組みが検討されている。
ただし、負担の全額を運転手に求めることは大きな重圧となる。
このため、配車プラットフォームが徴収する手数料(売上の約20~30%超)に対する規制や調整を通じ、社会保険拠出の余地を確保する必要性が指摘されている。
労働団体関係者からは、実際の所得水準に応じた段階的導入や、初期段階での国の財政支援を求める声も上がっている。
また、制度設計においては全ての給付を一度に適用するのではなく、拠出水準に応じて段階的に拡充する案も示された。
海外事例としては、2025年に施行されたシンガポールのプラットフォーム労働者法が挙げられる。
同国では企業と労働者が共同で年金・医療・住宅基金に拠出し、低所得層には政府が一部補助する仕組みを採用している。さらに、労災保険の加入や団体交渉権も認められている。
専門家は、配車アプリ運転手の強制的な社会保険加入は実現可能としつつ、プラットフォーム、労働者、国家それぞれの責任を明確にする法制度の整備が不可欠であると指摘している。





































