<写真:image.poste-vn.com>
飲食店やカフェで流される音楽を巡り、著作権対応への理解不足と費用負担が課題となっている。
ベトナムの多くの飲料チェーン店舗では、来店客向けに日常的に音楽が流されており、主に若年層に人気の楽曲や流行のプレイリストがオンライン音楽サービスを通じて再生されている。
各店舗は独自に選曲するケースが多く、全体としてこうした運用は業界内で一般化している。
一方で、多くの店舗は個人向けの有料サブスクリプションを利用しながら営業空間で音楽を流している。
例えば、ある店舗経営者は月額6万5000ドン(約396円)のサービスを契約し、自由に利用できると認識していたが、実際にはこうしたサービスは個人・非商用利用に限定されている。
主要な音楽配信サービスは、カフェやレストラン、ジム、学校、商業イベントなどでの再生を認めておらず、商業利用には別途許諾と著作権料の支払いが必要とされる。
外食産業において音楽は単なる背景ではなく、空間演出の重要な要素であり、顧客体験に直接影響する。
しかし、著作権への対応状況は事業者によってばらつきがあり、大手ホテルや外資系ブランドなどは法務体制の整備により早期に対応する一方、小規模店舗では十分な認識が進んでいない。
背景には、音楽を「無料で使えるもの」とする慣習や、「フリー音源」の意味に対する誤解がある。
無料視聴や個人利用と、商業空間での利用権は別であるにもかかわらず、その区別が十分に理解されていない。
法律上、店舗で音楽を流す行為は「公衆に対する演奏」に該当し、著作権者の許諾と対価の支払いが必要となる。
また録音物の利用についても、許可は不要であるが、演奏者やレコード製作者などへの使用料支払い義務が発生する。
このため、専門家は音楽利用を希望する事業者に対し、ベトナム音楽著作権保護センター(VCPMC)やベトナムレコード産業協会(RIAV)などを通じて権利処理を行うように求めている。
著作権料は政令17/2023に基づき、基礎給与額に面積に応じた係数を掛けて算出される。
例えば、30㎡の店舗では年間約240万3500ドン(約1万4637円)、100㎡では約948万7500ドン(約5万7778円)となる。
年間上限は基礎給与の8倍にあたる約2024万ドン(約12万3232円)である。
ただし、事業者からは新たなコスト負担への懸念も出ている。小規模店舗では年間数百万ドンの支払いが利益に影響すると指摘されている。
調査会社iPOSがハノイ市とホーチミン市を中心とした3000社以上の外食企業を対象に実施した調査では、57%超が法令遵守に伴うコスト増を利益率の圧迫要因と回答した。
電子請求書や税務対応、ソフトウェア導入など複数のコストが積み重なり、固定費と管理負担を押し上げている。
専門家は、音楽著作権は単独で利益を圧迫する主要因ではなく、各種コンプライアンス費用の積み重ねが問題の本質と指摘する。
適切な対応としては、音楽利用を運営コストに組み込み、価格設定やサービス設計に反映させることが必要とされる。
外食業界は2026年に入り、より厳格な法令遵守環境に移行しており、事業者にはコスト構造を踏まえた経営モデルの再構築が求められている。






































