<写真:phobienphapluat.vn>
ベトナムの旧正月テトを「気晴らし」の機会と捉え、賭博に興じる人々が後を絶たない。その結果、家族の不和や離散に発展する事例が各地で報告されている。
短期間の娯楽のつもりで始めた賭け事が多額の負債を生み、本来は祝福と団らんに満ちるはずの新年が、口論と失望の場へと変わってしまうのである。
ハノイ近郊在住の女性(45)は約20年にわたり、テトのたびに夫が近所の賭場へ行かないように目を光らせてきた。
青果販売で生計を立てる夫婦にとって、三が日は数少ない休息の時間である。
しかし、夫はわずかな貯金を「元手」にして伝統的な丁半博打「ソックディア」に没頭してきた。
過去には負けを取り戻そうとして妻の金品に手を付け、結果として年明け以降の生活費を圧迫したこともあるという。
新年の始まりは、家計の不安と夫婦間の緊張とともに訪れるのである。
別の女性は出産直後にもかかわらず、夫と義母が徹夜で賭博を続けた経験を明かしている。
子どもに贈られたお年玉までが賭け金に回され、耐えかねた彼女は実家へ戻った。家庭内の信頼関係は大きく損なわれ、家族の絆は深い傷を負った。
専門家によれば、テト期間中の賭博は本来、年始の縁起担ぎとして小規模に行われてきた風習に由来するものである。
ところが、金銭的利益を追求する傾向が強まるにつれ、その性質は大きく変質した。
医学的には、賭博は脳の報酬系に作用する行動嗜癖の一種とされる。
興奮や快感を求めて繰り返され、時間や金銭の感覚を失いやすい。さらに、制止されると強い感情や攻撃的態度を示すこともあると指摘されている。
国際的にも状況は深刻である。医学誌『The Lancet Public Health』の2024年の報告によれば、世界で約8000万人が賭博依存の状態にあると推計されている。
自殺念慮を抱く割合は15~24%に上るとの分析もあり、単なる娯楽の域を超えた社会問題となっている。
ベトナム当局も取り締まりを強化している。公安省によると、2025年のテト休暇9日間で賭博関連事件342件が摘発され、1800人以上が拘束された。
現行法では、少額であっても金銭や物品を賭ければ行政罰の対象となり、一定額を超えれば刑事責任を問われる。
伝統行事の名の下に行われる行為であっても、法の適用は例外ではない。
専門家は、テトを健全に過ごすための「四原則」を提唱している。
第一に、時間と金額の上限を明確に設定すること。第二に、家族団らんを最優先とすること。第三に、飲酒を口実に自制を失わないこと。第四に、引き際を守ることである。
賭博に代わり、民俗遊戯やスポーツなどの健全な活動を通じて交流を深めるべきであると強調している。
家庭内での賭博は、次世代にも影響を及ぼしかねない。
子どもが「運次第で金が得られる」という価値観を当然のものとして受け止めれば、将来的な逸脱行動の温床となる恐れがある。
テトの祝いを真の団らんの機会とできるかどうかは、各家庭の選択に委ねられている。






































