<写真:diendandoanhnghiep.vn>
中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー価格の上昇は、ベトナム企業の経営を強く圧迫している。
原材料費や物流費などの投入コストが急騰する一方、需要低迷により販売価格への転嫁は進まず、多くの企業が資金繰りの確保と生産維持の両立に苦慮している状況である。
物流業界では、保険料、運賃、各種追加料金が日々変動しており、従来の資金計画は短期間で見直しを迫られている。
燃料価格の上昇は物流費の増加を通じて幅広い業種に波及しており、国際輸送では費用が従来の2〜3倍に膨らんだ路線もある。国内輸送においても同様に負担が増している。
畜産・食品分野では、飼料費が生産原価の大部分を占めるため、コスト上昇の影響は特に大きい。
需要が弱く、鶏卵などの販売価格を引き上げにくいことから、企業は赤字を抱えつつも、供給網と雇用を維持するために生産継続を余儀なくされている。
肥料業界でも、原油高に加えて国際・国内物流費の上昇が収益を圧迫しているが、農家の負担を考慮し、値上げは限定的にとどめている。
輸出産業も厳しい状況に置かれている。
繊維・アパレル分野では、原材料費と海上運賃が上昇している一方、主要市場の購買力は鈍化しており、受注確保のため価格維持を続けている。
多くの業種に共通しているのは、投入コストだけが急増し、販売面でそれを吸収できない構図である。
こうした状況に対し、企業側は在庫管理の厳格化、実需に応じた生産への切り替え、輸送手段の見直し、市場の多角化などで対応している。
肥料企業は工場稼働率を高めることで単位当たりコストを抑え、輸出拡大によって操業と資金繰りの維持を図っている。
物流分野でも、契約条件や保険、追加料金を機動的に見直し、複合一貫輸送の活用を進める動きが広がっている。
もっとも、企業の自助努力には限界がある。
ベトナム政府は燃料供給の確保や安定市場からの輸入拡大、国内製油所のフル稼働を指示した。あわせて、輸入税、環境税、特別消費税の減免といった財政措置を講じ、燃料価格の抑制を図っている。
財政負担は増すものの、企業活動や物価全体への波及を抑える狙いがある。
今回のコスト高は、化石燃料依存の脆弱性を改めて浮き彫りにした。
電力や再生可能エネルギーへの転換を進めることは、中長期的に見れば企業のコスト管理能力を高め、外部環境の変動に対する耐性強化にもつながるとみられている。





































