<写真:znews.vn>
ホーチミン市のオフィス市場で、築年数の経過した物件が競争力低下のリスクに直面している。
グレードAオフィスの約3割が築10年以上となり、テナント需要の変化に対応した改修が求められている。
JLLの調査によると、同市のグレードAオフィスの約28%は築10年超で、このうち多くは25〜30年前に稼働を開始した物件である。
企業の需要が、環境性能やスマート機能、従業員向け設備を重視する新しいビルへと移行する中、これら旧来型資産は大きな圧力にさらされている。
ホーチミン市とハノイ市のオフィス総供給は約410万㎡に達するが、グレードAの約35%は国際的なグリーン認証を取得していない。
既存ビルの多くは、テナント維持と競争力確保のため、今後数年での改修が必要となる見通しである。
この傾向は世界的にも共通しており、JLLは2030年までに世界のオフィスビルの約65%が、環境・技術・利用者体験に関する新基準を満たさなければ陳腐化する可能性があると指摘する。
専門家によると、建物は運用開始から約15年で主要設備や管理システムが更新時期を迎え、20〜25年で全面的な改修がほぼ不可欠となる。
加えて、新規供給との性能差も拡大している。ホーチミン市で開発中のグレードAオフィスの約70%は、当初からグリーンやスマート基準を取り入れている。
一方、約20年前に建設されたビルは、設備効率や空気環境、付帯施設、エネルギー最適化の面で制約が残るほか、柔軟な働き方や最新の管理技術への対応も難しいケースが多い。
JLLベトナムのステファニー・ディン氏は、環境・社会・ガバナンス(ESG)が競争優位ではなく市場の標準になりつつあると指摘する。
エネルギー効率や運営技術、利用者の健康に配慮したビルは、テナント誘致力が高く、賃料の安定や資産価値の維持につながるという。
サヴィルズ・ベトナムのトロイ・グリフィス副社長も、グリーン不動産は特に外資系企業にとって必須条件となっていると述べる。
不動産は企業の間接排出(スコープ3)管理の対象であり、オフィス選定基準の変化を加速させている。
実際、既存ビルの改修も進んでいる。mプラザやビンコムセンタータワーは、ESG志向の改修後にテナント誘致力を高め、賃料も市場平均を上回る水準を維持している。
JLLによると、グリーン認証を取得し排出削減計画を明確にしたビルは、平均で15〜30%高い賃料を記録する。
一方、重点項目に絞った改修費は資産価値の約1〜7%にとどまり、運営コスト削減や資産寿命の延長にも寄与する。
専門家は、ホーチミン市のオフィス市場は立地競争から資産の質の競争へ移行しているとみる。
新規供給が増加する中、既存ビルの改修は単なる維持管理ではなく、テナント確保と投資価値維持のための戦略と位置付けられている。
今後は持続可能性基準への適応が競争力を左右し、対応の遅れた物件は好立地であっても選別される可能性がある。








































