<写真:laodong.vn>
ベトナムの労働市場では、Z世代(1997~2012年生まれ)の存在感が急速に高まっている。現在、同世代は労働力人口の約25%を占めており、2030年までに世界全体の3分の1に達するとの予測もある。2025年末から2026年初にかけては約36万人の採用需要が見込まれており、企業が若年層の確保に奔走する構図が鮮明となっている。
内務省傘下の国家雇用サービスセンターによれば、1万2700社超が計36万人分の採用を登録している。需要は繊維・衣料、皮革・履物、電気・電子、木工、組立など製造業を中心に広がっている。全体の7割超は普通労働であるが、職業資格保有者や中級・短大卒など技能を有する人材も22.6%を占めており、技術系人材の不足が浮き彫りとなっている。
大学卒以上の需要は7.4%にとどまるものの、技術、管理、ハイテク分野などでは高度人材への安定的な需要が続いている。
もっとも、関税政策の変動や地政学リスク、エネルギー価格の上昇といった外部要因が企業コストを押し上げており、生産拡大に対して慎重な姿勢もみられる。
地域別にみると、ハノイ市では2026年初めの採用需要が大幅に増加している。卸売・小売、商業サービス、加工製造分野が中心であり、普通労働が30~35%を占める一方、65~70%は事務職、技術職、営業、マーケティングなど訓練を受けた人材である。
ハノイ市は知識経済および高付加価値サービスへの転換を進めており、企業は自動化を強化しつつ、語学力やデジタル技能、ソフトスキルを備えた人材を求めている。
一方、北部の工業集積地であるバクニン省では、2026年に約18万人の採用計画がある。電子や縫製分野を中心に、普通労働が8割超を占めている。採用対象の8~9割はZ世代であり、多国籍企業や外資系企業の生産拡大が続く中、地元の労働供給(約190万人)は需要に追いついていない。賃金や待遇を巡る企業間競争も激化しており、若年層の転職が相次いでいる。
人手不足は工業団地の直接生産部門に加え、外食や小売分野でも顕著である。その背景には、多国籍企業の増産に加え、世代間の価値観の相違がある。Z世代は安定よりも柔軟性や生活との両立を重視する傾向が強く、配車アプリやフリーランスなどギグ経済との競合も強まっている。職業観の未成熟や過度な期待も相まって、企業が長期的に定着する若手人材を確保することは容易ではない。
こうした状況を受け、政府は国家雇用取引所や各地の就職フェアを通じて若年層と企業のマッチング強化を進めている。身分証アプリ「VNeID」を活用した情報認証やオンライン面接の導入により、違法仲介のリスク低減とコスト削減を図る方針である。
特にホーチミン市、ハノイ市、ドンナイ省、バクニン省などの労働集積地において需給調整を強化し、若年労働力の安定確保を目指す構えである。







































