<写真:vov.vn>
ベトナム南部ホーチミン市では、製造業の工場が労働者確保を巡って激しい採用競争を繰り広げている。
旧正月(テト)後は生産需要が増加する一方で労働力不足が続いており、企業は報奨金や福利厚生を拡充し、人材確保を急いでいる状況である。
台湾系靴製造企業のポウユエン・ベトナムは、2025年末から約3000人の新規労働者を募集している。
これは同社従業員数の約8%に相当する規模である。求人情報はバスターミナルやバス停の掲示、労働者向けSNSなど、多様な媒体を通じて発信している。
同社は基本給や法定福利に加え、新規採用者への報奨金、年次昇給、13カ月目賞与、24時間の労災保険などを用意している。
また、祝祭日や誕生日の贈り物、無料の食事、近隣省からの送迎バス、企業内保育所または保育補助などの福利厚生も提供している。
さらに、既存従業員が新たな労働者を紹介した場合、紹介者と入社者の双方に報奨金を支給する制度も導入している。
縫製企業PPJグループも待遇改善を進めている。同社は2026年の採用奨励金を1人当たり360万ドン(約2万1600円)へ引き上げ、前年より120万ドン(約7200円)増額した。
従業員が技能を持つ労働者を紹介した場合の報奨金も、従来の倍となる100万ドン(約6000円)に設定している。
グループの平均月収は2025年に約1000万ドン(約6万円)であったが、2026年には1100万ドン(約6万6000円)への引き上げを目標としている。
ホーチミン市内では、テト後に約6万人規模の労働需要が見込まれている。市内務局によれば、単純労働が約4割、加工・技術関連が2割強を占める。
テト後の労働者の職場復帰率は約90%と高いものの、年初は受注増加に伴って採用需要が集中するため、製造分野を中心に約5%の労働力不足が生じている。
また、市輸出加工区・工業団地管理委員会は、2026年前半に工業団地内の企業が約2万5000人を新規採用する見通しを示している。
そのうち約2万2000人は未熟練労働者であり、縫製、履物、食品加工、電子産業などの労働集約型産業が中心となる見込みである。
労働力確保が難しくなっている背景には、地方でも工業団地の整備が進み、地元での就業機会が増えていることがある。
労働者が都市部へ移住せず、居住地の近くで働く傾向が強まっているほか、若年層の間では工場の固定勤務よりも柔軟な働き方を志向する動きもみられる。
こうした状況を受け、企業は採用チャネルの拡大や報奨金の増額に加え、自動化による人手不足への対応も進めている。
PPJグループの工場では自動裁断機などを導入し、一部工程の人員を削減して生産効率を高めている。今後も自動化を進めることで、採用難の影響を抑える方針である。






































