<写真:vneconomy.vn>
超富裕層の増加やインフラ整備の加速、国際基準の供給拡大を背景に、ホーチミン市はアジアで最も発展が進む高級ブランド不動産市場の1つとなっている。
不動産サービス会社サヴィルズの東南アジア地域責任者マウロ・ガスパロッティ氏は、同市におけるブランドレジデンスの動向に関する討論会で、ベトナムがアジアで急成長する同分野の主要市場の一角を占めていると指摘した。
同社の「Branded Residences 2025-2026」によると、ベトナムはブランド不動産プロジェクト数で世界第4位に位置し、34の国際ブランドと連携した50件超の案件を抱える。
C9 Hotelworksの報告でも、アジアで開発中の同分野供給の41%をベトナムが占め、地域最大の比率となっている。
ガスパロッティ氏は、約20年前には観光インフラが未整備で国際ブランドも少なかった同市が、近年では国際的な不動産および高級ライフスタイルの新たな拠点として認識されつつあると説明した。
特に直近4〜5年で変化が加速し、金融、観光、ライフスタイルの中心地へと転換が進んでいるという。
マリオット・インターナショナルのアジア太平洋地域開発担当副社長グロリア・チャン氏も、同市が新興市場から金融・商業・観光が集積する「グローバル都市」へと認識が変化していると指摘した。
同社のベトナムにおけるホテルポートフォリオは2022年から2026年にかけて約15から32へと倍増しており、アジアでも稀な成長とされる。
観光面では、直近1年間の外国人訪問者数が約850万人に達し、前年同期比で約40%増加した。
ただし、年間約3000万人を受け入れるバンコクと比べると依然として低水準にあり、高級観光やラグジュアリーホテル、ブランド不動産分野での成長余地は大きいとみられる。
国内の富裕層拡大も市場を後押しする。ナイトフランクの「The Wealth Report 2026」は、純資産3000万ドル(約47億7000万円)以上の超富裕層が今後5年で59%増加すると予測しており、地域でも高い伸びとなる見通しである。
一方で供給面の課題も残る。ガスパロッティ氏は、高級物件は増えているものの、国際基準を満たす真のブランド不動産は限られていると指摘する。
サービス水準や運営能力、プライバシー性、居住体験が重要であり、外観や立地だけではブランド物件とは言えないとした。
ホーチミン市では「グランド・マリーナ・サイゴン」や「ザ・リバス」、「ワン・セントラル・サイゴン」内のザ・リッツ・カールトン・レジデンスなど一部案件にとどまり、同分野の供給は市場全体の5%未満に過ぎない。
また、マステライズ・グループのネリー・フオン・タ氏は、資産継承世代や超富裕層の嗜好変化にも対応が求められていると指摘する。
国際経験の豊富な顧客は、サービスや運営、居住体験において真のグローバル基準を求めており、個別化されたサービスや高度な管理体制が不可欠となっている。
都市面では、緑地や歩行環境、生活環境の質の向上も課題として挙げられる。
専門家は今後、規模や価格ではなく、国際基準の居住体験と長期的な信頼構築が競争力の鍵になるとみている。


































