<写真:thanhnien.vn>
ホーチミン市中心部で高層住宅の急増により、交通渋滞や生活環境の悪化が深刻化している。
ゴーバップ区の集合住宅に住む女性(40)は、2018年に「中心部まで車で20分」とされた物件を購入したが、現在は通勤や子どもの送迎に1日3~4時間を要している。
自宅から空港周辺や中心部までの距離は10km未満ながら、ファンバンチーやグエンキエム通りなどで慢性的な渋滞に巻き込まれる。
家族がそろうのは夜遅くになる日も多く、休息時間が大幅に削られているという。
こうした状況は一部にとどまらない。市内各地で高層住宅の建設がインフラ整備を上回るペースで進み、道路や公共施設への負荷が増大している。
ビンタイン区のゴータットー通りでは、2車線の狭い道路に学校や商業施設、高層ビルが集中し、夕方には約1kmにわたり車列が続く。
周辺では約1000戸規模の住宅プロジェクトも進行中で、さらなる混雑が見込まれている。
ホーチミン市南部のグエンフウトー通り沿いには約10万戸の住宅が集まり、ケンテー橋やカインホイ通りの入口で渋滞が常態化している。
グエンフウカンやホンハー、フォークアン通り、タンソンニャット国際空港周辺でも同様に開発が進む一方、道路拡張は追いついていない。
ホーチミン市建設局によると、旧ホーチミン市地域だけで1500以上の集合住宅があり、道路は当初計画を大きく上回る人口を抱えている。
現在、市内には長期的な渋滞箇所が22カ所存在する。交通用地の割合は都市面積の約15%にとどまり、計画目標の20~25%を下回る。
公共空間も不足している。ホーチミン市の1人当たり緑地面積は約0.55㎡で、特別都市の最低基準7㎡を大きく下回る。
教育分野でも42の行政区で学校不足が続き、学齢人口1万人当たりの教室数は約277にとどまる。
ホーチミン市の人口はすでに1400万人を超えており、将来的に2000万~2100万人に増加すれば、インフラへの負担はさらに拡大する見通しである。
このためホーチミン市は、中心部での高層住宅開発を抑制し、周辺地域への都市拡張と交通インフラ整備を進める方針を示している。
ただし、過去に承認されたプロジェクトが多数存在することや、インフラの総合的な許容量を評価する仕組みが不十分なことから、実効的な抑制は難航している。
現行の審査は個別案件ごとに行われるため、地域全体での人口増加や負荷の累積を十分に反映できていない。
専門家は、問題の本質は単一プロジェクトではなく、長年にわたる多数の開発の積み重ねにあると指摘する。
公共交通や学校、医療施設、公園などの整備が追いつかない中で人口と建設が集中し、都市機能の過負荷が顕在化しているという。
また、公共交通の整備が不十分なため、市民の多くが自家用車やバイクに依存しており、交通需要が一層増大している。
中心部はすでに容量の限界に近づいており、道路の拡張余地も乏しいとされる。
専門家は、高層建築の増加が交通だけでなく、駐車場や電力、水道、緑地など多方面に負荷を与えているとして、人口増加に見合う公共空間の確保がなければ生活の質は低下すると指摘している。




































