<写真:baoxaydung.vn>
ホーチミン市の内陸部における交通混雑は、人口分散だけでは解決できず、雇用や教育、医療などの機能が中心部に集中している限り、改善は難しいと専門家が指摘している。
ある男性は約12年前に、ビンズオン省で中心部から約15km離れた40㎡超のマンションが約4億5000万ドン(約270万円)で販売された際に購入を決めた。
当時の市中心部の住宅価格に比べ大幅に低く、若い家族でも住居を確保できる水準であった。
同男性は交通インフラの整備が進めば通勤も許容範囲と考えていたが、10年以上が経過した現在も生活の大半は市中心部に依存している。
本人は中心部へ通勤し、家族も通学や日常活動で市内へ移動する生活が続いている。
こうした状況は、ホーチミン市周辺の衛星都市に住む多数の住民に共通する。
住宅価格の高騰により郊外へ移住する一方、雇用、大学、病院、高品質サービスなどは依然として中心部に集中しており、日々の人口移動が交通負荷を増大させている。
建築家ゴ・ビエット・ナム・ソン氏は、中心部での高層建築を制限するだけでは人口や交通圧力の軽減にはつながらず、新たな成長拠点の形成が不可欠であると指摘する。
居住地が分散しても、就業や教育、サービス利用のために中心部へ移動せざるを得ない場合、混雑は接続路線へ移るだけである。
また、ホーチミン市交通運輸大学のドアン・ホン・ドゥック氏も、シンガポールやソウル、東京の事例を挙げ、中心部の建設抑制だけで過密問題を解決した都市はないと指摘する。
これらの都市は複数の拠点を同時に発展させ、公共交通で効率的に結ぶことで負荷を分散してきたという。
同氏は、都市の高密度化とは一極集中ではなく、公共交通沿線や複数の成長拠点に人口と機能を適切に配置するモデルであると説明する。
ホーチミン市では過去、雇用と人口が中心部に集中する一方で公共交通の整備が需要に追いつかず、道路拡張を続けても渋滞が悪化してきたと分析する。
このため、中心部の負担軽減には、居住、就業、教育、サービスが地域内で完結する環境の整備が必要であるとしている。
近年、ホーチミン市は再編に向けた条件が整いつつある。ビンズオン省やバリア・ブンタウ省との統合により都市空間が拡大し、新たな都市開発や緑地整備の余地が広がった。
また、地下鉄(メトロ)1号線や将来の各路線、環状3号線・4号線、高速道路ホーチミン〜モクバイ線、ホーチミン〜チョンタイン線など、広域インフラの整備も進んでいる。
都市計画コンサルティング会社エンシティのグエン・ド・ズン氏は、同市が単一中心型から多中心型都市へ転換する必要があると指摘する。
新都市は単なる人口受け皿ではなく、雇用やサービスを備えた経済拠点として機能すべきであるとする。
同氏は将来構造として、半径約20kmの中心都市圏、北部のハイテク産業・研究開発拠点、カンゾー〜カイメップ〜フーミー〜ブンタウに至る港湾・物流・海洋経済圏の3つを成長エンジンとして提案する。
企業側も、住宅開発と交通・社会インフラを切り離すべきでないと指摘する。
ビーコンズ・グループのグエン・キエット副総裁は、新都市は交通、教育、医療、公共施設などを含めた統合的な計画が前提であり、人口増加より先にインフラ整備を進める必要があると述べた。
郊外での住宅供給を進める場合でも、交通接続の整備を先行させ、生活・就業・教育・娯楽を一体化した都市形成が求められるとしている。
ビンズオンとの境界地域に住む男性は、現在も国道13号線の拡張工事の完了を待ち望んでいる。日々の通勤負担の軽減を期待しつつ、中心部への往復を続けている。






































