〈写真:danviet.vn〉
ハノイで進行中の多数のインフラ整備事業の影響により、賃貸住宅の確保が困難となり、家賃も上昇している。
6月初旬、地方出身の45歳女性は、ハノイで大学に入学予定の息子のために下宿先を探した。
クアンニャン通りの部屋に50万ドン(約3000円)の手付金を支払ったが、現地は道路拡張事業に隣接し、入口には土砂や廃材が散乱していたため、契約を断念し手付金を放棄した。
その後、計画区域外で工事の影響を受けない適正価格の物件を探すのは容易ではなく、チンキンやグエンチャイ周辺では立ち退きや囲い込みが進み、多くの路地が通行困難な状態にある。
約1週間経っても住居は見つかっていない。
こうした状況のもと、ハノイの賃貸市場は数カ月前から逼迫している。長年居住していた住民も工事の影響で転居を余儀なくされているためである。
会社員の28歳女性は、タインスアン区チンキン通りのミニアパートから転居した。
周辺の住宅がインフラ整備のため解体されて以降、騒音や粉じんが増加し、電力やインターネットも不安定となった。
路地の主要な出入口は工事用の囲いで半分塞がれ、搬入も困難であったという。
現在はタイホー区に移り、通勤距離は10km以上延びたが、月額500万ドン(約3万円)で借りられるのは家具付き15㎡の部屋にとどまる。
ハノイでは現在、1400件以上のインフラ事業に伴う用地確保が進められている。
地元メディアの調査によれば、タインスアン、ドンダー、カウザイ各区で、20~25㎡のミニアパートの賃料は前年同期比で10~15%上昇し、現在は月額500万~600万ドン(約3万~3万6000円)で推移している。
不動産仲介業者によると、家賃上昇の主因は、立ち退きによる旧来の賃貸住宅の減少と、消防設備の基準強化に伴う改修コストの増加である。
最近では、入居希望者が最初に物件の計画区域該当や工事の影響有無を確認する傾向が強まっているという。
一方、工事現場に隣接する物件の貸主も苦境にある。
タインスアン区チンキン通りの貸家を所有する人物は、築1年で消防基準を満たす建物にもかかわらず、道路拡張計画の対象となり、騒音や粉じんの影響で入居者が減少した。
空室率はこの1カ月で30%増加し、前面の部屋の賃料を550万ドン(約3万3000円)から450万ドン(約2万7000円)に引き下げる対応を取っている。
ベトナム不動産市場評価研究所(VARS IRE)は、2026年の賃貸市場の変動は複数要因が重なった結果と指摘する。
都市インフラ再編に伴う供給不足に加え、消防設備点検や改修のため営業を停止する小規模賃貸が増え、供給が一時的に縮小しているという。
その結果、タインスアン、カウザイ、ドンダーなど生活基盤が整った中心部および周辺部に需要が集中している。
中心部の賃料が月額400万~600万ドン(約2万4000~3万6000円)に達する中、比較的高所得層は治安や利便性を重視し、商業マンションでのルームシェアを選択する動きもみられる。
一方で、交通アクセスの良い郊外へ移ることで賃料を抑える層も存在する。
専門家は、賃貸契約に際し、地域の都市計画状況や契約期間、賃料改定、保証金の条件を事前に十分確認する必要があると指摘する。
2026年初頭、ホンハー区バンキエップ通りで陳興道高架橋事業に伴う立ち退きが進んだ際に、55際女性は半径500m以内で新居を探し、3月から月額700万ドン(約4万2000円)で3階建て・40㎡の住宅を確保した。
前払いで契約を成立させたが、4月以降は周辺の賃貸物件が枯渇し、資金があっても入居が難しい状況になったという。


































