<写真:nguoiquansat.vn>
人工知能(AI)の普及が、ベトナムにおけるオフィス、工業用不動産、小売分野の需要拡大を後押しするとの見方が示された。
不動産サービス大手クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドが公表したアジア太平洋地域に関する報告書によると、AIは自動化によって一部業務を代替する一方で、生産性向上や運営コスト削減、事業拡大を促すとされる。
これにより経済規模や企業数、雇用が増加し、オフィスや倉庫、データセンター、小売スペースへの需要が拡大するという。
AIは反復的な業務を置き換える可能性があるが、企業の活動拡大を通じて不動産需要を補完するという。
最も可能性の高いシナリオでは、AIによる生産性改善により、アジア太平洋地域の経済成長率は2030年まで年3〜4%程度で推移する見通しである。
2026年から2030年にかけては、雇用が約5850万人増加すると予測されている。
分野別では、オフィス市場が大きな恩恵を受けるとされる。今後10年間で、同地域のグレードAオフィスの純吸収面積は9600万㎡を超える可能性がある。
AIを活用する企業は協働や研究開発に適した高品質なオフィス空間を求める傾向が強く、優良物件とそれ以外との格差が拡大する見込みである。
JLLも同様の見方を示し、高度人材とイノベーション環境を備えた都市で新たなテクノロジー拠点が形成されていると指摘する。
AI関連企業はエンジニアやデータ専門家、研究開発人材を一カ所に集約する傾向があり、グレードAオフィスの需要維持につながっている。
米国では既に、AI企業が研究開発拠点としてオフィス賃貸面積を拡大する動きが見られる。
工業用不動産では、自動化の進展や電子商取引の拡大、サプライチェーン最適化の需要を背景に、近代的な倉庫や配送センター、物流インフラへの需要が増加している。
2030年までに、同地域の物流・工業分野の純吸収面積は2億3600万㎡を超える見通しである。
また、生成AIの発展に伴い、データ処理や保存、通信能力への需要が急増し、データセンター投資が拡大している。
電力供給や適地確保が投資家にとって重要な競争要因となっている。
小売分野では、AIが労働生産性と企業効率を高めることで所得と購買力の向上を促すと期待される。
ただし恩恵は一様ではなく、体験型要素を備えた高級商業施設が優位に立つ一方、中価格帯施設は競争圧力に直面する見通しである。
ベトナムでは、生産拡大や対内直接投資の増加、デジタル化の進展が、工業用不動産やデータインフラの成長基盤となっている。
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド・ベトナムによれば、不動産企業にとってAIの活用が研究開発や運営において不可欠になる。
輸出志向の投資や国内消費の拡大が工業用不動産を支えているほか、データセンター市場も建設コストの競争力やデジタル化の進展、クラウド需要の拡大を背景に長期的な成長余地があるという。
オフィスと小売においても、立地や運営品質、テナントの新たな要件に対応できる物件への需要が高まり、物件間の品質格差が一段と広がる可能性がある。
同社はAIの影響は導入速度や労働市場の適応力に左右されるとしつつも、基本シナリオでは今後10年間の商業不動産市場における主要な成長要因の1つになると位置付けている。
特にベトナムのような新興市場でその影響が顕著になると見込まれている。




































