<写真:image.poste-vn.com>
ベトナムの若年層の間で、老後を見据えた早期の資産形成と引退準備の動きが広がっている。
ホーチミン市在住の30歳男性は、家計管理アプリで支出を厳格に把握し、夫婦で日常的に節約を徹底している。
1週間の支出は食費120万ドン(約7080円)、外食費50万ドン(約2950円)にとどまり、多くの日は無支出で過ごす。
住居は親から提供されており、月間支出は1000万〜1200万ドン(約5万9000〜7万800円)で収入の約20%に抑えている。
残りは投資信託や株式に振り向け、不動産購入による賃貸収入と年金資金の形成を目指す。
同男性は社会保険と生命保険も活用し、社会保険料を給与の60%基準で納付するように会社へ申請、毎月400万〜500万ドン(約2万3600〜2万9500円)を自己負担して将来の給付を増やしている。
新型コロナウイルス禍で失業し、4カ月間にわたり月700万ドン(約4万1300円)の手当で生活した経験が背景にあるという。
米ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの2025年調査によると、Z世代の平均的な老後資金の貯蓄開始年齢は23歳で、ミレニアル世代の28歳より早く、X世代(34歳)やベビーブーマー世代(40歳)より約10年早い。
ベトナムでも同様の傾向が見られ、労働科学社会研究所とプルデンシャル・ベトナムの調査では、52.6%の若者が45〜55歳での引退を計画している。
一方で、30〜44歳層の老後資金準備への自信は10点満点中5.72にとどまる。
HSBCの2024年報告では、ベトナムの若者の39%が高リスク投資を選好し、資産形成の加速を図っているとされる。
アジアの中間層の42%は引退の準備ができておらず、貯蓄は約10年分の生活費にしかならないと見込む。58%は引退後も就労継続を想定している。
こうした不安は就業選択にも影響を与え、給与だけではなく医療保険や生命保険、社会保険の負担割合を重視する傾向が強まっている。
ハノイ市の金融コンサルティング会社は、若者の早期準備の背景に価値観の変化を指摘する。
従来は子どもを育てることが老後保障と見なされていたが、現在は親世代が依然として子どもを支援する現実や、備えのない老後が家族に負担を与える状況を目の当たりにし、自ら準備する意識が高まっているという。
また、短期契約やギグワークの拡大、AIによる雇用変化も、若者が自ら安全網を構築する必要性を高めている。
専門家は、若者は単一の収入源に依存せず、社会保障と長期投資を組み合わせた「多層的な老後資金」を構築していると指摘する。
安定収入を得た時点で老後計画を開始すべきであるとし、不良債務の解消、6〜12カ月分の緊急資金確保、資産形成、受動的収入の確立を段階的に進めることを提言している。
若年層の間では「稼ぐだけでなく、守り、増やす」志向への転換が進んでいる。




































