<写真:vneconomy.vn>
国際労働機関(ILO)は7月9日、生成AI(GenAI)がASEAN地域の雇用に与える影響に関する報告書を公表し、域内の雇用の22.9%に当たる約8000万人が影響を受ける可能性があると明らかにした。
報告書は「生成AIとASEAN労働市場:影響は大きいが混乱リスクは限定的、準備状況は不均一」と題し、ASEAN11カ国を対象に、職業ごとのAI影響度やGenAIの導入動向を分析した。
2025年の推計では、影響を受ける労働者は多いものの、最も高い影響を受ける層は労働力の3.3%、約1170万人にとどまるとしている。現時点で大規模な失業は確認されていない。
国別では、GenAIの影響を受けやすい職種に従事する割合が最も高いのはシンガポールで42.2%に達する。フィリピン、インドネシア、ベトナム、タイがこれに続く。
また、GenAIの影響度は若年層(15~24歳)と成人層で大きな差はないが、性別では差がみられる。
女性は男性の約2倍の影響を受ける可能性があり、事務・行政・専門職に多く従事していることが背景にある。
労働市場の変革余地は大きいものの、GenAIの導入は初期段階にあり、普及は限定的で、主に技術集約型の分野に集中していると指摘した。
ASEAN域内ではAI活用の準備状況にばらつきがあり、シンガポールはデジタル基盤や高度人材、政府の統合的な戦略により、世界有数の競争力を持つAIエコシステムを構築していると評価された。
報告書の主執筆者であるILOのエコノミスト、クリスチャン・フィーゲルハーン氏は、生産性向上には技術導入だけでなく人的資本や社会保障への投資が不可欠であり、労働市場の将来はAIの影響度だけでなく、政策選択や適応能力に左右されると指摘した。
ILOは、AIによるイノベーションを生産性向上や質の高い雇用創出につなげるため、人間中心のAIガバナンスの構築や、特に女性や若年層を対象とした技能向上・再教育の拡充を提言した。
さらに、中小企業のAI導入支援や、域内での知識共有と人材育成の連携強化も必要であるとしている。






































